センターだより2005年04月号

 

確定申告の納税相談現場で痛感した深刻な課題

公認会計士 : 長谷川 敏也
 新年度が始まりました。地元愛知県では、空港&万博&三越ラシックのオープンが重なり、景気の回復・拡大ムードです。今ごろは読者の顧問先様の中にはいずれにも出かけてきた、という方もいらっしゃると思います。その結果、愛知県の有効求人倍率は全国最高の1.63倍と発表されています。全国平均の0.91倍に比べて際立っていますし、事実、最近求人に苦労している顧問先企業さんの声をよく聴きます。
 そこに冷や水をかけるようで恐縮ですが、税制面では増税路線が鮮明になっています。先月3月は恒例の所得税確定申告の月で、一般の納税者の方の税務相談を受ける機会がありました。中でも高齢者の方が年金の通知書と医療費の領収書を持ってこられると、税制改悪が直撃することを痛感しました。たとえば、「今年は税金が引かれていないので確定申告はいりませんが、来年からは年金から所得税が引かれるので確定申告したほうが得ですよ」という会話です。
 このセンターだよりの中で、その時々にお伝えしている税制改革の中身を改めて振り返って見ますと、次のことがあります。
●配偶者特別控除(専業主婦向けの割増部分)の廃止
  平成16年所得税、平成17年住民税から
●公的年金控除縮小(たとえば65歳以上で年金が330万円以下の場合、最低でも年20万円の縮小)
  平成17年所得税、平成18年住民税から
●老年者控除の廃止(本人65歳以上、合計所得1000万円以下の場合、年50万円の控除の廃止)
  平成17年所得税、平成18年住民税から
●定率減税(所得税の20%、25万円限度の控除)半減
  平成18年所得税から
●定率減税(住民税の15%、4万円限度の控除)半減
  平成18年住民税から
●住民税非課税措置の廃止(65歳以上合計所得125万円以下の者)
  平成18年から

 これらの増税の影響を受ける人は全体で500万人と推計され、新たに課税される高齢者は93万人に上ると言われています(来年の確定申告時期の各税務署の大混雑が目に浮かびます!)。
 さらには、国保料と介護保険料も上がりつづけますし、年金制度そのものも大きく変革しています。その結果、高齢者夫婦の負担が倍増し、意外に多い高齢の親から資金援助を受けている子ども世帯のキャッシュフローにも影響が出てくることは必至です。高齢者の方を扱っている医療機関・福祉施設の方にも影響が出てきます。
 一つ一つの制度改革は小出しですが、まとまってくると大きな影響があちこちに出てきます。確定申告の納税相談現場での会話で痛感した深刻な課題です。 

 

「育児・介護休業法が変わります!」

森 律子
 平成17年4月1日から、次世代育成支援を進めていく上でも大きな課題となっている育児や介護を行う労働者の方の仕事と家庭との両立をより一層推進するために、育児・介護休業法(「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)が改正されます。

改正のポイント
改正事項 現行   17年4月1日から
@育児休業及び介護休業の対象労働者の拡大 期間を定めて雇用される者(有期契約労働者)は対象外 休業の取得によって雇用の継続が見込まれる一定の範囲の期間雇用者は、育児休業・介護休業がとれるようになります。
A育児休業期間の延長 子が1歳に達するまで 子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合には、子が1歳6ヶ月に達するまで育児休業ができます。
B介護休業の取得回数制限の緩和 対象家族1人につき1回限り       期間は連続3ヶ月まで 対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態に至るごとに1回の介護休業ができます。期間は通算して(のべ)93日まで
C子の看護休暇の創設 事業主の努力義務 小学校就学前の子を養育する労働者は、1年に5日まで、病気・けがをした子の看護のために、休暇を取得できるようになります。
※育児・介護休業法の規定は、企業や事業所の規模を問わず適用されます。
※育児・介護休業法の規定は、労働者の性別を問わず適用されます。(男性もOK!)
※育児休業・介護休業は、業務の繁忙などを理由に拒むことはできません。
(労使協定の締結を理由に申し出を拒むことができます。(労働者の条件あり))

 上記@の改正は、従来は対象外であった有期契約労働者に対して、一定の要件に該当する者には、育児・介護休業をとれるようにするというものです。一定の要件に該当する労働者とは
 (1)一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること(育児・介護休業共通)
 (2)育児休業…子が1歳に達する日(誕生日の前日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること
           (子が2歳に達する日までに労働契約期間が満了し、かつ、更新されないことが申し出時に既に明
           らかである者を除く)
   介護休業…介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日(93日経過日)を超えて雇用が継続すること
           が見込まれること(93日経過日から1年を経過する日までに契約期間が満了し、かつ、更新されな
           いことが申し出時に既に明らかである者を除く)
のいずれにも該当する者です。
 また、労働契約の形式上期間を定めて雇用されている場合であっても、その契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態になっている場合には、契約形態にかかわらず、育児休業や介護休業の対象となります。(上記@Aの要件は問いません)
 さらにAは子が1歳に達した日において保育所の申し込みを希望しているが、まだ決まっていない等の一定の事情がある場合には子が1歳6ヶ月に達するまで育児休業ができるというものです。
 そしてBは現行対象家族1人につき1回しか認められなかった介護休業を要介護状態になるごとに、通算(のべ)93日までなら何回でも休業をとることができるようになったというものです。
Cは休暇の日数は子の人数にかかわらず一の年度において労働者1人あたり5日とされており、「年度」は事業主が別段の定めをする場合を除き、4月1日から翌年3月31日となっています。
 今回の改正により、就業規則の修正、労使協定の再締結が必要になってきます。特に労使協定は協定していないことにより、協定していれば育児休業・介護休業の対象から外れる労働者が請求してきた場合にも休業を与える義務が発生してしまうため、早急に手を打っておくことが大切です。
 以上のほか平成17年4月1日施行の法律には、「高齢者雇用促進」「個人情報保護」に関するものがあります。それぞれ重要なものであり、関係して就業規則の改定が必要となりますのでご留意ください。詳しくは葵労務管理事務所担当までお尋ねください。

 

職場を活性化させる魅力的な管理者になるために・・・ 
〜これからの管理者に必要な要素〜 

 4月になり、新入社員を迎える季節になりました。今後新しく部下をもつことになる方も増える時期であります。
 そこで今回は管理者の役割について、アルト・キャリア開発の森先生にインタビューを行いましたので、そのまとめをご報告したいと思います。

―最近、管理者の方から部下がなかなか自分の言うことを聞いてくれないだとか、部下が何を考えているのか分からない、と言った質問を受けますがどうしてこういうことがおこるのでしょうか?

―研修を行う中で最近感じるのは、管理者よりもむしろ部下(新人も含めて)のほうが言葉遣いやマナーなどの仕事に対する基本的な部分ができているということですね。また、仕事の遂行能力も比較的高く、てきぱきと仕事をこなせる人材が昔より多くなってきたように感じます。
 つまり、有能な部下が増えてきたのではないでしょうか。
 そのような中で管理者は、部下にばかにされてはいけない・嫌われてはいけない、と強く思うのですが、具体的にどうしたら上司としての威厳が保てるのか、どうしたら自分についてきてくれるか、ということの解答を見つけられていない、ということが非常に多いのではないでしょうか。
 一方で、部下のほうも上司について悩んでいます。
 最近の部下の傾向としては、自分から見てこの人といたら成長できる!(自分にとってメリットがある)と思える上司についていきたいとは思っているのですが、自分で上司を選ぶことができるわけでもありませんし、尊敬できない上司についてしまうと非常にどうしたら良いのか考え悩みます。
 顕著な例として、最近の5月病は、仕事に適応できないから悩むのではなくて、上司に恵まれない、ということを感じて悩むようです。それぐらい、部下にとって、仕事の中での上司の位置づけは非常に高いものであるわけです。


―仕事はかなりできる管理者であっても、こういった悩みを持っておられる方が多いような気がするのですが?


―そうですね。今の時代仕事が他の人よりもできるといっただけでは部下から信頼される管理者の条件を満たすことはできないでしょう。


―ということは、部下から信頼を受けている管理者には、仕事ができる以外に何か必要なことがあるのでしょうか?

―ええ、そのとおりです。キーワードは“人間性”=バランス感覚 ですね。
 これからの管理者に必要な能力は、人の気持ちが分かる・感受性がある・愛情がある・といった言葉に代表されるような人間性の高さと言えるのではないでしょうか。

 例えば簡単な例でいけば、まず上司の雰囲気です。部下にとって何よりも、明るく元気な職場は非常に魅力的な職場であります。明るく元気な職場と言うのは、そこにいる上司の雰囲気が決定するものです。従って、上司はまず明るく元気であったほうがよいでしょう。その結果人間性の高い上司だと部下から思われるようになると思います。
 こんなことを言うとよく話に出るのは、「私は根が暗いからそんなに明るくはできないよ・・」という管理者さんの話です。しかしこの場合、自分で分かっているのにそれを直そうとせずあきらめてしまっていることは、自分から職場を活性化することを放棄していることに等しい話です。
こういった努力もせずに職場を活性化するということはまずもって不可能でしょう。

 また、その人の人間性を推し量るのには下記のような部分も実は大きな影響を与えます。
見栄え・・襟元、袖元、足元は常に見られています。また、職業的イメージもあります。
    
考え方・・個人としての判断ではなく、組織としての多様な判断ができること
    (仕事への考え方が個人的な判断に偏っていると部下は仕事への意識が低くなる傾向があります。)
気遣い・・部下への配慮(気遣いは気遣いで帰ってくることを知りましょう。)

管理者はこういった人間性を高めるために、五感を磨くことが必要になるでしょう。

ここで、明日からでも簡単に人間性を高める方法として下記の方法をご紹介します。是非参考にして下さい。

●部下の顔を見たら声をかける(あいさつではありません)
  ※出会い頭の一言、通りすがりの一言は重要です
  ※特に女性は声かけを重要視する傾向があります
 声をかける内容としては、部下の生活背景や、仕事内容について声をかけましょう。(趣味の話をしてもあまり効果はありません)また、こういった声をかけることは、部下に関心を持っていないとできません。常日頃から部下がどういった仕事をしているかなどについて管理者は気にかけておく必要があります。


―では人間性を高める努力をして、管理者は日々どういった仕事をしていけばよいのでしょうか?

―はい。それにはまず管理者の役割を確認しましょう。管理者としての役割をまとめると以下のようになります。

1.部下を育てる
2.部下を動かす
3.部下の和を図る
4.部下を統率する


これらを実現させるためには、先程言ったように、
仕事の能力  だけではなく、

仕事の能力 + 高い人間性 が必要になってきます。  
こういった要件を管理者がお持ちになれば、必然的に部下は必ずついて来ます。そうすれば上記の管理者の役割を果たすことが可能になってくるのではないでしょうか。

よく、“教育は耳からよりも目から”と言われるように、部下は上司の行動を見よう見まねするものであります。管理者が五感を磨くことを実践し人間性を高めれば、同じように部下も五感を磨き人間性の高い部下に成長するでしょう。
逆に、管理者の人間性が低ければ、部下の人間性も低くなり、部下を育てることも、動かすことも非常に難しくなってしまいます。

要は、管理者自身が
人間性を高める、という信念を持つ  → 自分の行動が変わる → 部下が変わる
ということを認識し努力する必要があるのではないでしょうか。


 

「パソコンの個人情報保護」 

平 和彦
 今年4月、個人情報保護法が全面施行されることで、各事業者に大きな影響があると言われています。この法律は事業者規制法となるため、行政が事業者を監督し、問題のある事業者を処罰する権限が与えられています。従って、事業者は法律の遵守を基本として、個人情報の取扱いを進めなければいけません。
 個人情報保護法の適用範囲は、「5000件以上の個人情報を扱っている事業者である。」とありますが、自社の社員情報も個人情報と見なされるので、社員数5000名以上の企業はすべて同法の対象となります。
 また個人情報には、氏名、住所、電話番号はもちろん、電子メールのアドレス、顔の画像、音声データはおろか、名刺や紙の名簿への記載も含まれます。これらを別々にカウントして合計で5000件を超せば対象となりますので、ほとんどすべての企業が対象となると考えられます。
 現在の事業者の悩みは、「何をどこまで対応すべきか、どうしたら良いのか知りたい」といったことだと思います。そこで、パソコンに関する対策をいくつか挙げます。

・パスワードの厳格な管理の実施
 
 これまでの事故例をみますと、
そのほとんどがパスワードの管理ミスや従業員の悪用といった内容になっています。
 パスワードをメモして簡単に他の人に知られないような注意が必要です。
 
・ノートPCやUSBメモリなどの管理

 落としたり、盗まれたという事故。また、会社から自宅へ持ち 帰った際に事故を起こすという ケースもあります。
 ルールを作り、記憶端末やノートPCの持ち出し、自宅への情報の持ち出しを徹底して規制管理する必要があります。
・電子メールの誤送信

 電子メールでは、発信する前に警告表示が出る設定にすること ができます。また、ウィルス対策ソ フトにもこうした警告表示を出す 仕組みがあり、有効に使えるは ずです。

・外部からのパソコンアクセス

 ウイルスにはパソコン内部のデータを外部へ転送するものもあります。インターネットを利用する環境ではセキュリティ対策として、ウィルスチェック、ファイアウォール等のソフトを利用することをお勧めします。

 補足として、パスワードに関して言えばWindowsにあるパスワード機能から指紋認証、USBロック、ICカードなどを利用したものまであります。多少コストもかかりますので十分検討の上、対策をとる必要があるのではないでしょうか。

 

康友会セミナー
「どこがどうなる?税制改正の要点解説」

山崎 桃子
 平成17年3月17日に平成17年度の税制改正、商法改正についてのセミナーが行われ、多数の方々にご参加いただきました。
 セミナーではまず前半に税制改正のポイント(増税面・減税面)、後半に商法改正についての概要説明がありました。セミナーの主な解説ポイントは次のとおりです。
1.定率減税と税源移譲
  定率減税10%(12.5万円上限)に引下げ、個人住民税所得割の税率の3段階(5%・10%・13%)を10%の比例税率にする。
2.金融・証券税制の改正
  特定口座内の上場株式等が発行会社の清算等により無価値化した場合にこれを譲渡損とみなす措置を導入。
3.企業関連税制の改正
  ◎企業再生の際の債務免除益に対して、
 @課税対象分に資産の評価損、A7年まで繰り越せる青色欠損金額の期限切れ部分、を使って債務免除益と相殺し課税を回避し企業を再生。
  ◎民法組合、匿名組合等の損失の取扱いについて。
4.人材投資促進税制の創設
  損金経理された教育訓練費の額に対して、大会社であれば前2事業年度の教育訓練費平均額と当期の額との増加分に対して25%に相当する金額を税額控除。中小企業であれば、前2事業年度の平均額と当期との増加率に応じて20%、増加率の1/2に相当する金額を税額控除。
5.改正商法(会社法)の概要
  現行法における有限会社、株式会社及び新会社法における株式会社の違い、株式会社の機関設計、資本の部株主持分変動計算書の作成等。
 
 セミナーの内容は多岐にわたり参加者の皆さんも熱心に聴講されていました。

葵総合税理士法人